2025年9月4日木曜日

ステーブルコインは国債を後ろ盾にするクレジットカードビジネスみたいなものでしょうか?

 クレジットカード(与信ビジネス)とは別物で、発想はむしろプリペイド/電子マネー寄りです。ステーブルコイン(信託型・JGB等を裏付け)は預り金を安全資産にプールして1:1償還を担保しますが、クレカは利用者に無担保の短期信用を与える商売です。

ざっくり対比

観点ステーブルコイン(JGB等で裏付け)クレジットカード
本質預り金の保全+決済トークン与信(貸付)+決済ネットワーク
主な収益準備資産(金利)+発行/送金手数料加盟店手数料(MDR/インターチェンジ)リボ/分割金利+年会費等
主なリスク運用・カストディ・規制/オペリスク信用(貸倒)・不正/チャージバック・規制
バランスシート**準備資産=負債(トークン)**の1:1管理**売掛債権(カード債権)**を保有し回収
流通時間24/7 即時最終性(オンチェーン)事後清算(バッチ)+銀行営業時間依存
利息の帰属多くは発行体(ユーザーへ分配しない設計が多い)利用者の利払いが発行体収益
近い類似電子マネー/プリペイド(分別保全)消費者金融+決済ネットワーク

似ている点

  • どちらも「決済レール」を提供し、加盟店/受取側の手数料という形で収益化し得ます。

  • 流動性管理が重要(ステーブルは償還・スワップ、クレカは与信枠・資金調達)。

決定的に違う点

  • 信用供与の有無:ステーブルは基本貸していない(預り金のトークン化)。クレカは貸している

  • 裏付け資産:ステーブルはJGB等の安全資産を保有しつつ1:1償還を守る設計。クレカは顧客債権が主要資産で、資金調達は**預金・社債・ABS(証券化)**等。

  • 収益構造:ステーブルは金利(フロート)+小口手数料が中心。クレカは加盟店手数料+リボ金利が主軸。

業態の特徴とメリデメ(超要約)

  • ステーブルコイン(信託型・JGB等)

    • メリット:24/7決済・手数料安・プログラマブル・価格安定(1:1)

    • デメリット:利息は多くが発行体側/償還SLAはオフチェーン事情に左右/規制・開示コスト

  • クレジットカード

    • メリット:与信拡張で購買力を創出・ポイント/チャージバック等の制度整備・世界的受入網

    • デメリット:貸倒・不正リスクが重い/MDRが高く小額決済に不向き/清算がバッチで即時性に弱い

結論(たとえ話)

  • ステーブルは**「JGBに浮かべたウォレット残高を即時に動かす仕組み」**。

  • クレカは**「カード会社が立て替え払いをして、あとであなたから回収する仕組み」**。
    同じ“決済”でも、前者は保全・交換媒体後者は与信・回収ビジネスです。