ざっくり言うと「開示ど真ん中のKYCゾーン」と「選択的秘匿ゾーン」の二極化です。
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規制ドリブンに“丸見え化”
FATFのトラベルルールやEUの新AML規則で、送受信者情報の伝達・匿名口座の禁止などが強化。結果、取引所や“規制対応型L1/L2”は高開示へ収束します。FATFコンシリウムノートン・ローズ・フルブライト -
産業側の「公開」圧力
MiCAは発行体にホワイトペーパーの詳細開示を義務づけ、広告表現の制約も。コンプラ重視のRWAやステーブル群は“見せる”設計に寄ります。EUR-Lex+1 -
逆方向の“秘匿”技術も進化
Zcashのzk-SNARK、Aztecなどのプライバシー志向ZKロールアップ、FHE系L2(Fhenix等)が計算や状態そのものを暗号化して選択的開示を可能に。Zcash DocumentationZ.CashAztec DocumentationCoinDeskChainwire -
「選択的ディスクロージャー(zkKYC)」の台頭
Polygon ID等のVC/zk証明で、必要最小限だけ証明(例:年齢/KYC済み)する実装が増加。全面開示と完全秘匿の中間が厚くなります。PolygonCryptoSlate -
監視の“性能向上”が分極を補強
研究・実務のアドレス/トランザクション・クラスタリングで疑似匿名は可視化されやすい。可視ゾーンはより透明に、秘匿ゾーンはより強い暗号へ。コンピュータサイエンスUSENIX -
エンフォースメントの揺れ
Tornado Cash制裁(2022)→訴訟・取扱い指針・最近の動きまで、プライバシー手段と法執行の綱引きが続いています。U.S. Department of the Treasury+1Axios
帰結(実務の前提)
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CEX/規制対応L2/許可型チェーン=高開示・追跡前提
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ZK/FHE系L2・プライバシー通貨=選択的秘匿前提
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中間層=zkKYC+ログ最小化の設計(監査には耐え、個人情報は出さない)
いまの設計指針(簡潔)
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“開示と秘匿の分離”を要件化:公開メタデータと秘匿データの境界を明文化
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zkKYC/VCで二値KYCを脱し、「条件を満たす」のみ証明
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監査用ログは保持、公開ログは最小限・選択的
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地域展開はMiCA/AML/トラベルルール差分表で運用