主成分分析(PCA)と因子分析はどちらも多変量データを扱う統計手法ですが、目的とアプローチが異なります。PCAは「データ全体を混ぜて、できるだけ分散が大きい方向に並び替える」手法です。たとえば多次元のデータを2次元に可視化したいとき、情報をなるべく失わずに圧縮するために使われます。ここで重要なのは、「わかりやすく要約する」ことを重視しており、背後にある構造や因果を問わない点です。
一方で因子分析は、「各変数は潜在的な因子の組み合わせで構成されている」と仮定します。つまり、観測されたデータを「何がこの結果を生み出しているのか」という因果的構造に基づいて説明しようとする手法です。心理学などで「性格をいくつかの因子で説明したい」といった場合に使われます。要約すれば、PCAは“統合して要約”、因子分析は“分解して構造化”という違いが本質です。