2025年9月15日月曜日

日本語のシンタックスと意味という本がありますか?

 はい、あります。寺村秀夫著『日本語のシンタクスと意味』(くろしお出版)全3巻(I=1982年、II=1984年、III=1991年)です。 9640.jp


特色と各巻のねらい

  • 全体の立場:生成文法の形式よりも「日本語が実際にどう意味を表すか」を重視し、用例にもとづいて説明する機能・記述志向。De Gruyter Brill

  • 第1巻(1982):述語と補語・格助詞の結びつきから「コトの類型」を整理。ヴォイス(受身・使役など)にも言及します。紀伊國屋書店

  • 第2巻(1984):時制・相(テンス/アスペクト)とムード・文末表現など、文の意味機能を詳しく扱います。北大学術リポジトリ+2ocw.nagoya-u.jp+2

  • 第3巻(1991):「取り立て」「構文要素の結合と拡大」などを論じ、1–3巻の総索引を付す。著者逝去後、関係者が最小限の補訂を加えて刊行。紀伊國屋書店+1

参考情報

  • 書誌:くろしお出版刊、A5判、全3冊(1982–1991)。第3巻に総索引。CiNii+1

  • 関連研究:名詞(連体)修飾の「内の関係/外の関係」の区別など、寺村の連体修飾研究は後続研究に大きな影響を与えています。国立国語研究所

「日本語の文法を“意味”から理解したい」「実用の説明が欲しい」方に向く定番です。


  • 寺村『日本語のシンタクスと意味』は、機能・意味重視の記述文法です。実際の用例にもとづき、格助詞・取り立て・文末表現・テンス/アスペクトなど、日本語がどう意味を表すかを丁寧に描写します。

  • チョムスキー系(生成文法)は、言語の普遍原理を形式的にモデル化する理論研究が中心。派生・構成素構造、拘束条件(GB)や最小主義など、抽象的な規則と表現で統語を説明します。