2025年9月8日月曜日

ホログラムとGLSLのSDF 類似点と相違点

 

共通点

  • 3D→2D符号化:3Dシーン情報を2Dパターン(干渉縞/距離場テクスチャ)に埋め込みます。

  • 再構成:2Dから3Dらしさを復元(光の伝搬/レイマーチ)して立体を知覚させます。

  • 場の表現:連続場(複素振幅/距離スカラー)として“連続的”に幾何を扱います。

  • GPU親和性:フラグメントシェーダで大規模並列計算が可能です。

  • 視点非依存な元データ:1つの符号化から多視点の立体感を引き出せます。

相違点(対照表)

観点ホログラムGLSLのSDFメモ
符号化量位相/振幅(複素場)距離スカラー情報量はホロがリッチ
物理性波動光学(回折・干渉)幾何光学近似(距離・法線・BRDF)焦点/調節手がかりはホロが再現
再構成光の伝搬計算(Fresnel/AS法、FFT)レイマーチ+陰影計算カーネルが根本的に異なる
遮蔽/多重像場として自然に含む距離ヒットで手続き的に表現反射/屈折はSDFで拡張可
解像感波長オーダーの高周波を保持ステップ数・ε・精度に依存SDFはジャギ/バンディングに注意
波長ごとに設計(単色が基本)RGBで自由ホロのカラーは難度・コスト高
奥行手がかり両眼視+調節+回折ボケ両眼視・運動視差中心調節はSDFでは疑似的
データ設計物体→位相マップ化が必要形状→SDF合成が自然制作ワークフローの違い
実体実写/物理デバイスで実在像画面上のレンダ出力の用途が異なる
ノイズ特性スペックル/回折ノイズサンプリング/誤差ノイズノイズ対策の手法が別
スケーリングFFTで大域計算レイマーチで局所反復並列性の質が違う
応用ディスプレイ/計測/セキュリティDCC/可視化/デモシーン産業領域が異なる

ブリッジ発想(相互に寄せる)

  • SDF→ホログラム風:ヒット深度 zz から位相 ϕ=2πz/λ\phi=2\pi z/\lambda を作り、Fresnel畳み込みで“再生”表現。

  • ホロ→SDF風:位相/振幅場から等位相面を抽出して等値面レンダ(擬似SDF)として可視化。

ひとことで

  • ホログラムは波(複素場)をそのまま持つ“物理的な3D”、SDFは距離場から“幾何学的に3Dを生成”

  • どちらも「2Dの場に3Dを埋め込む」が、扱う“場”の中身(波 vs 距離)と再構成カーネル(伝搬 vs レイマーチ)が本質的に違います。