家庭や飲食店で出る使用済み食用油は、正しく集めれば地域の燃料や航空のSAFに生まれ変わります。本稿では、最新版ガイドライン(2024改訂)を手がかりに、原料受入の要点――酸価・水分・夾雑物の管理、混合比の考え方(原則B5まで)、品質確認・保管の注意を整理します。自治体や企業が設置する回収拠点へ、PETボトルで持ち込むのが基本。下水には絶対に流さない。回収油はBDFとして地域バス・公用車に活用され、近年はJALの取り組みでSAF原料としても循環が進展。品質面では規格項目の把握とロット分析、密閉・遮光・低温管理、火気厳禁・ラベル表示、異物混入防止が肝要。運用側は車両メーカーの適合情報と安全規程を確認し、住民には回収場所・曜日・容器ルールを周知――“すてる油”を資源に変える循環を、地域・企業・家庭の三位一体で回しましょう。
指針・規格:日本有機資源協会(JORA)の最新版『バイオディーゼル燃料の製造・利用に係るガイドライン』(2024年3月改正)が、原料受入(酸価・水分・夾雑物など)、製造、品質確認、保管・副産物処理までを網羅。B100利用時の品質27項目も整理されています。jora.jp+1
混合比の考え方:国内の車両適合や政策動向では、原料供給制約を踏まえつつ導入拡大を図り、実運用は原則B5範囲が基調(適合状況はメーカー公表を参照)。エネルギー政策資料にもBDF導入推進が明記。Ministry of Economy, Trade and Industry
自治体・民間回収:自治体はPET等容器での拠点・ステーション回収→BDF化の事例が多数(京都市・岡山市など)。家庭油は“下水に流さず”回収拠点へ持ち込みが基本。環境省の事例集が運用手順を紹介。Ministry of the Environment, Japan
SAF化の動き:JALは全国のスーパー等に「すてる油リサイクルボックス」を設置し、家庭廃食油をSAF原料として回収する取り組みを展開。関連リリースも公表済み。jal.com+1