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2025年9月18日木曜日

家庭や飲食店で出る使用済み食用油は、正しく集めれば地域の燃料や航空のSAFに生まれ変わります。

 家庭や飲食店で出る使用済み食用油は、正しく集めれば地域の燃料や航空のSAFに生まれ変わります。本稿では、最新版ガイドライン(2024改訂)を手がかりに、原料受入の要点――酸価・水分・夾雑物の管理、混合比の考え方(原則B5まで)、品質確認・保管の注意を整理します。自治体や企業が設置する回収拠点へ、PETボトルで持ち込むのが基本。下水には絶対に流さない。回収油はBDFとして地域バス・公用車に活用され、近年はJALの取り組みでSAF原料としても循環が進展。品質面では規格項目の把握とロット分析、密閉・遮光・低温管理、火気厳禁・ラベル表示、異物混入防止が肝要。運用側は車両メーカーの適合情報と安全規程を確認し、住民には回収場所・曜日・容器ルールを周知――“すてる油”を資源に変える循環を、地域・企業・家庭の三位一体で回しましょう。

  • 指針・規格:日本有機資源協会(JORA)の最新版『バイオディーゼル燃料の製造・利用に係るガイドライン』(2024年3月改正)が、原料受入(酸価・水分・夾雑物など)、製造、品質確認、保管・副産物処理までを網羅。B100利用時の品質27項目も整理されています。jora.jp+1

  • 混合比の考え方:国内の車両適合や政策動向では、原料供給制約を踏まえつつ導入拡大を図り、実運用は原則B5範囲が基調(適合状況はメーカー公表を参照)。エネルギー政策資料にもBDF導入推進が明記。Ministry of Economy, Trade and Industry

  • 自治体・民間回収:自治体はPET等容器での拠点・ステーション回収→BDF化の事例が多数(京都市・岡山市など)。家庭油は“下水に流さず”回収拠点へ持ち込みが基本。環境省の事例集が運用手順を紹介。Ministry of the Environment, Japan

  • SAF化の動き:JALは全国のスーパー等に「すてる油リサイクルボックス」を設置し、家庭廃食油をSAF原料として回収する取り組みを展開。関連リリースも公表済み。jal.com+1


  • 2025年9月7日日曜日

    グッターオイル

     以下では、「グッターオイル(gutter oil=地溝油)」の概要と、安全なリサイクルの考え方・日本での実例を要点でまとめます。

    1) そもそも「グッターオイル」とは?

    • 主に中国や台湾で問題化した、下水・排水溝・グリーストラップ・屠畜残渣などから回収した廃油や、過度に繰り返し加熱された使用済み油を“食用油”として不正再生したものの俗称です。健康リスク(PAHs=多環芳香族炭化水素やベンゾ[a]ピレン等の有害物質の増加)が指摘され、各国で厳しく取り締まりの対象です。PMCcfs.gov.hk

    • 中国では2010年前後から全国的な摘発・規制強化が進み、違法な食用転用は重罰の対象となっています。エメラルドウィキペディア

    2) 「リサイクル」は“食用に戻さない”ことが大前提

    • 使用済み食用油(UCO)は、食用に戻さず、バイオディーゼル(BDF)や持続可能な航空燃料(SAF)、石けん・脂肪酸など非食品用途に回すのが国際的・国内的な原則です。日本農林規格(JAS)にも、廃食用油のリサイクル工程管理が定義されています。農林水産省

    • EU などでは UCO 由来燃料にサプライチェーン認証(ISCC等)が用いられ、不正混入や“見せかけの廃油”を抑止するガイダンスが最新化されています。ISCC System+1starconcord.com.sg

    3) 正規のリサイクル先(代表例)

    • バイオディーゼル(B5等):上海では回収した廃油をB5(軽油95%+脂肪酸メチルエステル5%)として公用車に利用する取り組みが報告されています。人民日報オンライン

    • SAF(持続可能な航空燃料):日本でも UCO を原料にした SAF 供給や実証が進展。ユーグレナの「サステオ」や NEDO 実証、国内回収ボックス設置などの動きがあります。NEDOユーグレナ日本航空

    • 石けん・飼料用油脂・脂肪酸:用途管理のもとで再生油脂を利用(JASに明記)。農林水産省

    4) 日本での枠組み・実務ポイント

    • 指針・規格:業界団体のBDFガイドライン(最新版 2024/2020版)や環境・エネルギー政策資料に、原料受入(酸価・水分・夾雑物など)や混合比(原則B5まで)、品質確認・保管などの注意点が整理されています。日本有機資源協会+1経済産業省

    • 自治体・民間回収:自治体や企業が拠点回収→BDF化・SAF化する事例が多数。家庭油はPET等に入れて“回収拠点に持ち込む”のが基本です(下水へ流さない)。JAL などが全国の「すてる油」回収スポットを案内しています。農林水産省日本航空

    • 工程管理JAS:回収〜再生〜出荷までの工程管理やトレーサビリティを規定。食品用途への転用は想定しておらず、非食品用途での安全・品質確保が主眼です。農林水産省

    5) 健康リスクと「見分け」研究(参考)

    • 不正再生油は加熱劣化物やPAHsなどが増えやすく、発がん性物質の懸念が公的機関からも示されています。cfs.gov.hk

    • 研究面では、蛍光・ラマン・近赤外分光、GC/LC-MS、機械学習を用いた“その場”鑑別の試みも報告されています。サイエンスダイレクト+1PMC


    まとめ(要点)

    • グッターオイル=違法な“食用再生油”の俗称。リサイクルするなら非食品用途が原則。PMC

    • 日本では、工程管理JASBDFガイドラインに沿い、UCO→BDF/SAF/石けん等へ。家庭油は回収拠点へ農林水産省日本有機資源協会日本航空

    Food Safety in China: Science, Technology, Management and Regulation(Wiley, 2017)
    中国の食品安全を総覧する定番。法規制やリスクコミュニケーション、**Food Fraud(不正混入・再生油問題など)**の章もあり、gutter oilに触れる文脈が揃っています。Kindle/ハードカバーあり。 Food Fraud Prevention Think Tank+3Amazon+3Amazon+3

    https://it-lists.blogspot.com/2025/09/gutter-oi.html