概念の芯
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数値インフレ:攻撃力・HP・ダメージ上限・経験値曲線の上方シフト
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演出インフレ:カットシーン/必殺演出の長尺化・派手化
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世界観インフレ:舞台や賭け金の拡大(町→国家→世界→宇宙)
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メタ運用インフレ:続編・拡張・シーズンで“基準値”を更新
90年代ゲームの典型
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ハード進化の後押し:16bit→32/64bit、CD-ROM化で演出・容量が一気に拡張
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JRPG:ダメージ上限“9999”前後の天井、長尺召喚、隠しボス・裏ダンジョンで上振れ余地
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対戦格闘:スーパーゲージ/超必殺、連続技の高度化、シリーズ毎のキャラ・サブシステム増設
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弾幕STG:弾密度の極端化と狭小当たり判定/ボムでの公平性確保
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ARPG/ハクスラ:アイテムレア度階層、拡張パックで装備/スキルの“世代更新”
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MMO草創:レベルキャップの上方修正と経済インフレ(高額通貨・希少素材)
ゲーム内での“抑え方”
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縦→横の分解:単純火力の上積みではなく、属性・状態異常・位置取りで差別化
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代償設計:高火力に長いクールダウン/リソース消費/自己デバフを伴わせる
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層化リソース:HP+MP/必殺ゲージ/スタミナなど二~三層で意思決定を増やす
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可逆的リベース:続編/高難度追加で上限を上げつつ、旧コンテンツは“快走体験”に
90年代『少年ジャンプ』的な典型
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変身・覚醒の段階化:フォームや倍率(×界王拳的)で段階的に天井を更新
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トーナメント→上位組織→世界級:章ごとの“格上げ”で賭け金を拡張
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技の系統樹:上位互換・派生・合技で“学習的インフレ”を演出
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ルールで制御:
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念や能力体系=制約/コストを与え、単純火力の暴走を抑える
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条件戦(ジョジョ的能力)=“状況を作る知略”でインフレを知能戦へ転写
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休符の活用:日常回・旅の寄り道で基準感覚をリセットし、次章の爆発力を回復
共通パターン(ゲーム×漫画)
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段階解放:フォーム/必殺/難度を“ステップ関数”で開ける
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基準値の定期更新(リベース):旧領域は快走・蒐集・周回用へソフトランディング
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代償と制約:強さにはコスト、使いどころの熟考を要請
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情報インフレへの対処:要約・チュート・回想で参入障壁を下げる
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静動の振幅:静(準備・修行)→動(決戦)の対比で体感的な“伸び”を作る
実装チェック(10項目)
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上限(ダメ/レベル/レア度)の“次の天井”は何で、いつ開くか?
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旧コンテンツを“快走体験化”する導線はあるか?
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強化には明確な代償(CD/コスト/デバフ)があるか?
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火力以外の勝ち筋(属性、位置、ギミック)が設計されているか?
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学習量の増加を要約/回想/チュートで吸収しているか?
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長尺演出にスキップ/短縮の逃げ道はあるか?
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経済(通貨/ドロップ)インフレは周回/取引で破綻しないか?
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章間の“休符”でプレイヤーの基準感覚をリセットできているか?
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続編/拡張でのリベース方針(上げ幅・頻度)は事前に決まっているか?
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“数値を盛らずに強い”ビルド・戦術は確保されているか?
まとめ
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90年代は**技術的余裕(容量/演出)と連載構造(章立て)**が相互作用し、数値・演出・世界観の三方向でインフレが進行。
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持続させる鍵は、段階解放+代償設計+基準値の定期リベース。