2025年9月2日火曜日

90年代ゲームと『少年ジャンプ』系漫画に見られる“インフレーション(強さ・規模・演出の逓増)”

 

概念の芯

  • 数値インフレ:攻撃力・HP・ダメージ上限・経験値曲線の上方シフト

  • 演出インフレ:カットシーン/必殺演出の長尺化・派手化

  • 世界観インフレ:舞台や賭け金の拡大(町→国家→世界→宇宙)

  • メタ運用インフレ:続編・拡張・シーズンで“基準値”を更新

90年代ゲームの典型

  • ハード進化の後押し:16bit→32/64bit、CD-ROM化で演出・容量が一気に拡張

  • JRPG:ダメージ上限“9999”前後の天井、長尺召喚、隠しボス・裏ダンジョンで上振れ余地

  • 対戦格闘:スーパーゲージ/超必殺、連続技の高度化、シリーズ毎のキャラ・サブシステム増設

  • 弾幕STG:弾密度の極端化と狭小当たり判定/ボムでの公平性確保

  • ARPG/ハクスラ:アイテムレア度階層、拡張パックで装備/スキルの“世代更新”

  • MMO草創:レベルキャップの上方修正と経済インフレ(高額通貨・希少素材)

ゲーム内での“抑え方”

  • 縦→横の分解:単純火力の上積みではなく、属性・状態異常・位置取りで差別化

  • 代償設計:高火力に長いクールダウン/リソース消費/自己デバフを伴わせる

  • 層化リソース:HP+MP/必殺ゲージ/スタミナなど二~三層で意思決定を増やす

  • 可逆的リベース:続編/高難度追加で上限を上げつつ、旧コンテンツは“快走体験”に

90年代『少年ジャンプ』的な典型

  • 変身・覚醒の段階化:フォームや倍率(×界王拳的)で段階的に天井を更新

  • トーナメント→上位組織→世界級:章ごとの“格上げ”で賭け金を拡張

  • 技の系統樹:上位互換・派生・合技で“学習的インフレ”を演出

  • ルールで制御

    • 念や能力体系=制約/コストを与え、単純火力の暴走を抑える

    • 条件戦(ジョジョ的能力)=“状況を作る知略”でインフレを知能戦へ転写

  • 休符の活用:日常回・旅の寄り道で基準感覚をリセットし、次章の爆発力を回復

共通パターン(ゲーム×漫画)

  • 段階解放:フォーム/必殺/難度を“ステップ関数”で開ける

  • 基準値の定期更新(リベース):旧領域は快走・蒐集・周回用へソフトランディング

  • 代償と制約:強さにはコスト、使いどころの熟考を要請

  • 情報インフレへの対処:要約・チュート・回想で参入障壁を下げる

  • 静動の振幅:静(準備・修行)→動(決戦)の対比で体感的な“伸び”を作る

実装チェック(10項目)

  1. 上限(ダメ/レベル/レア度)の“次の天井”は何で、いつ開くか?

  2. 旧コンテンツを“快走体験化”する導線はあるか?

  3. 強化には明確な代償(CD/コスト/デバフ)があるか?

  4. 火力以外の勝ち筋(属性、位置、ギミック)が設計されているか?

  5. 学習量の増加を要約/回想/チュートで吸収しているか?

  6. 長尺演出にスキップ/短縮の逃げ道はあるか?

  7. 経済(通貨/ドロップ)インフレは周回/取引で破綻しないか?

  8. 章間の“休符”でプレイヤーの基準感覚をリセットできているか?

  9. 続編/拡張でのリベース方針(上げ幅・頻度)は事前に決まっているか?

  10. “数値を盛らずに強い”ビルド・戦術は確保されているか?

まとめ

  • 90年代は**技術的余裕(容量/演出)連載構造(章立て)**が相互作用し、数値・演出・世界観の三方向でインフレが進行。

  • 持続させる鍵は、段階解放+代償設計+基準値の定期リベース