『平家物語』は、鎌倉時代に成立した軍記物語で、平家一門の栄華と没落を描いた作品です。冒頭の「祇園精舎の鐘の声…」に象徴されるように、仏教の無常観(栄えるものもやがては滅びる)を基調としています。
背景
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平清盛を中心とする平氏が、武家として初めて政治の頂点に立ち、絶頂を迎える。
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しかし源氏との戦い(源平合戦)を経て、一門は壇ノ浦(1185年)の戦いで滅亡する。
内容と特徴
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清盛の栄華、安徳天皇の悲劇、義経や頼朝など源氏の活躍を通じて、権力の移ろいや人間の哀しみを描く。
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語り物(琵琶法師による盲目の語り)として広く伝えられ、人々に仏教的な教訓と娯楽を与えた。
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和漢混交の文体で格調高く、武士の戦闘描写と貴族的な雅さが融合している。
文化的影響
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日本文学・芸能に強い影響を与え、能、歌舞伎、浄瑠璃などに題材が引き継がれた。
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代表的な場面には「敦盛の最期」「一ノ谷の戦い」「扇の的」などがあり、日本人の美意識に深く刻まれている。