2025年8月26日火曜日

世界平和は実現できるでしょうか?できたとして、どのような条件が必要でしょうか?

 

(恒久的・完全)という意味での「ゼロ戦争」は保証できませんが、「戦争の確率と規模を歴史的に低い水準まで下げる=実用的な世界平和」に近づくことは可能です。鍵は“同時に満たす層”を増やすことです。

必要条件(ミニマム)

  1. 核・大量破壊兵器リスクの縮小
    — 先制不使用の拡大、検証可能な削減、早期警戒の冗長化・誤警報対策。

  2. 紛争解決の強制力
    — ICJ/仲裁の受諾拡大、自動仲裁条項、停戦監視の常設化。

  3. 安全保障ジレンマの緩和
    — 透明性(演習通知・観閲・兵力データ)、危機ホットライン、信頼醸成措置。

  4. 経済の相互依存+“武器化”の歯止め
    — 依存の偏り是正、サプライ冗長化、制裁のルール化。

  5. サイバー・AI・情報空間のガードレール
    — 選挙干渉・病院/送電網攻撃の禁止、致死性自律兵器の制限、検証・トレーサビリティ。

  6. 気候・資源協調
    — 水・食料・移民圧に対する越境協定と資金メカニズム。

  7. 包摂的な国内統治
    — 法の支配、少数者保護、公正な分配と移行正義。

  8. 心理・文化面
    — 相互理解教育、歴史叙述の相互承認、都市外交・人的往来。

実装の「ピース・スタック」(重層で効くと強い)

①核リスク低減 → ②軍事ドクトリン抑制(段階的エスカレーション階段) → ③紛争仲裁インフラ → ④相互依存の健全設計 → ⑤サイバー/AI規範 → ⑥気候協力 → ⑦人権・包摂の基盤。

進捗を測る指標(例)

  • 強制管轄(ICJ等)を受け入れる国数

  • 先制不使用/NFUの採用国数・核弾頭の実在削減

  • 未解決の国境・領土紛争件数の減少

  • 戦闘関連死亡率の長期低下トレンド

  • 危機ホットライン・事故回避協定の網羅率

  • 重要インフラへのサイバー攻撃規範の批准・監査件数

  • 気候損失損害枠組みの拠出・受益国カバレッジ

失敗モードと対策

  • 権力移行期の誤算/誤認 → 常設ホットラインと段階的合図の標準化。

  • 情報操作と過激化 → 透明性、独立監査、メディアリテラシー。

  • 技術軍拡(AI・極超音速など) → 試験通知・検証・用途制限の国際合意。

  • 資源ショック → 共同備蓄・相互融通協定。

きょうからできる実務(アクター別の一例)

  • 政府:仲裁受諾の拡大、演習通知協定、NFU検討。

  • 企業:サプライの多元化、人権DD、誤情報拡散の抑止設計。

  • 都市/大学:姉妹都市・交換留学・共同研究。

  • 個人/市民:越境交流、対立テーマの“共起語”で議論を設計、寄付・ボランティア。

結論:世界大戦級の戦争をほぼ起こさない世界は、複数の層を“同時に・継続的に”走らせることで十分現実的です。完全なゼロを目標にしつつ、「確率と被害の最小化」を制度・文化・技術で積み上げるのが近道です。