新聞・雑誌の批評
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リチャード・T・ケリー(The Guardian)— 四部作全体を再読し、「20世紀日本の暗い輝き」をもつ大河として論評。『奔馬』の狂信批判や最終巻の厭世性まで丁寧に触れます。The Guardian
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ダミアン・フラナガン(The Japan Times)— 作品成立の背景やドナルド・キーンとの交流を踏まえて、『豊饒の海』の“深層”へ降りていくエッセイ。The Japan Times
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チャールズ・ソロモン(Los Angeles Times)— 四部作をまとめてレビュー。『神曲』『失われた時を求めて』に比しつつ、読者を「奈落の縁」に立たせる作品だと評します(1990)。Los Angeles Times
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イアン・ブルマ(The New Yorker)— 2025年の総論的レビューの中で、四部作に見られる“美と死”の政治化に批判的コメント。直接の作品評というより文脈批評ですが参考になります。The New Yorker
学術研究・批評(英語)
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ロイ・スターズ— 章論文「Mishima’s Sea of Fertility as a National/Historical Novel」で、四部作を「国民の物語」として読み解きます。Taylor & Francis+1
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マサオ・ミヨシ(三好将夫)— 『Accomplices of Silence』などで三島を近代日本文学の文脈に位置づけ、天皇観や政治性を論じる古典的研究。四部作を含む三島像の理解に有益です。Association for Asian StudiesCentre for Digital Scholarship
学術研究・批評(日本語・論文)
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井上聡「『豊穣の海』の一解釈—『見る者』と『見られる者』の物語」(京都大学機関リポジトリ, 2013)— 視線と主体を鍵にした精読。KURENAI
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稲田大貴「『豊饒の海』試論(2):物語られる『転生』をめぐって」(九州大学, 2008)— “転生”の仕掛けを物語論的に検討。Kyushu University Library
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柳瀬善治「『豊饒の海』論(2)—『奔馬』を中心にして」(三重大学紀要)— 第二巻『奔馬』の主題や人物像の掘り下げ。Mie University Repository
伝記・証言に基づく批評的視点
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ドナルド・キーン— 三島の友人で主要評者。四部作を「生涯の仕事」と位置づける文脈を伝える記事(Flanagan)からも、受容史上の重要性がわかります。The Japan Times
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ジョン・ネイサン— 標準的伝記『Mishima: A Biography』で、四部作の制作期・思想背景を詳述。四部作理解の補助線として定番です(概説参照)。Wikipedia