ニュートンの重力像は、平坦なユークリッド空間と絶対時間を前提に、重力をポテンシャルΦの「勾配」で与えるものでした。運動方程式は a = −∇Φ、場の方程式は ∇²Φ = 4πGρ。これが基本図式で、ここには「時空の曲率」は登場しません。ただし月や太陽による潮汐のように、場所ごとの重力の差異は重力ポテンシャルの二階微分、すなわちヘッシアン(潮汐テンソル)∂i∂jΦとして扱われました。したがって“曲率が重力”という幾何学的発想はアインシュタイン以後で、一般相対論が計量と曲率で重力を記述したのです。ニュートンは力学の枠内で“力が軌道を曲げる”と考え、軌道の曲率半径や遠心加速度で整理しましたが、その舞台となる空間自体は終始平坦です。一方、一般相対論では自由落下は力なしの測地線運動とされ、潮汐は曲率成分 R_{0i0j} に対応します。線形近似では R_{0i0j} ≈ ∂i∂jΦ/c² と結びつき、ニュートン的二階微分が幾何学の言葉に昇格します。歴史的には、後にニュートン–カルタン理論が古典重力を接続と曲率で再表現しましたが、これは再解釈です。要するに、ニュートンは勾配で、アインシュタインは曲率で重力を捉えました。。