2025年10月15日水曜日

空間の性質を知りたいときはリーマン、情報を整え分解したいときはヒルベルト

 リーマンとヒルベルトは対立ではなく、役割の異なる二本柱です。比喩で言えば、リーマンは「舞台・地形」、ヒルベルトは「楽器庫・編集室」。リーマンは空間そのものの起伏(長さ・角度・曲率)を語り、最短路や体積の歪みなど“世界の形”を測る学問。ヒルベルトは並んだ数や波・画像といった“中身のデータ”を、内積・直交・投影で整理し、誤差最小の近似や分解を行う学問です。肌感で言うと、リーマンは2D/3D/4D…と「有限のつまみ」を回す感じ、ヒルベルトは無限に並んだつまみ(フーリエ係数や画素)を扱う感じ。座標や基底を替えても、本質が保たれる設計という点も共通します(リーマンはテンソルで“地形の性質”を、ヒルベルトは内積で“長さ・角度”を保存)。実務では両者は密接に組み合わさります。曲がった空間の上で、関数や波(データ)を解析する――ラプラス–ベルトラミやディラック作用素はその典型。まとめれば、空間の性質を知りたいときはリーマン、情報を整え分解したいときはヒルベルト。両者をセットで使うことで、世界の「形」と「中身」を同時に掴めます。