2025年10月13日月曜日

浄瑠璃の譜面

 

1) パブリックドメイン(無料DL可・PDF=一次入手)

  • F. T. Piggott『The Music and Musical Instruments of Japan』(1893/1909 版)
    19世紀末の日本音楽概説で、西洋五線譜による例示採譜が多数(長唄・三味線系の断片を含む)。浄瑠璃(義太夫)そのものの全曲スコアではありませんが、様式理解と旋律例のPD資料として有用です(PDF直DL可)。 survivorlibrary.com+1

※浄瑠璃の完全五線譜スコアのPD公開は現状ほぼ見当たりません。早期の英文文献は断片採譜中心です。

2) 無料MIDI/無料譜面(要ライセンス確認)

  • mu-tech.org:伝統曲(長唄・端唄・地歌・義太夫など)
    各曲ページで楽譜PDF/画像・MIDI・試聴を無料配布。例:長唄「越後獅子」「鶴亀」ほか。サイト独自の制作物のためPDとは限りませんが、学習・アレンジの取っ掛かりに。 Mu-Tech

  • mu-tech.org(落語関係ページ)
    義太夫由来曲・関連曲(例:「近頃河原達立」「壷坂霊験記 住吉籠」など)の楽譜・MIDIの配布あり。こちらも権利は各ページの表記に従う前提です。 Mu-Tech

参考:ネット上には「幻想浄瑠璃」と題するオリジナル曲のMIDIも流通していますが、伝統浄瑠璃の採譜ではありません(名称が紛らわしいため要注意)。 MidiShow+2GetUploader+2

3) 研究用の“完全スコア”(五線譜)を確実に入手=購入(Amazon)

  • William P. Malm『Nagauta: The Heart of Kabuki Music』(Tuttle)
    付録に**長唄の完全スコア(西洋五線譜)**が2作収録。浄瑠璃と同系統の三味線歌物で、実用的な参照譜として定番です(Kindle/ハードコピー)。 Amazon+1
    補足:Internet Archiveに書誌と付録記述の情報ページもあります(貸出/プレビュー扱いで、PDではありません)。 Internet Archive

4) 学術論文(断片採譜の例)

  • Gidayu/Kiyomoto 等の語り物に関する分析論文
    様式説明とともに短い採譜例が掲載されることがあります(例:Narrative musicのフォーミュラ分析)。フル譜ではありませんが、節型の把握に有用。 ResearchGate

『アメリカン・サイコ』に対する好意的・技巧面の評価

 

海外の評者による論評

  • ヘンリー・ビーン(小説家・脚本家) — エリスの描く1980年代消費社会の退廃を、グロテスクも官能も同じ無表情なトーンで描く**「純粋な交換価値のような文体」による風刺として評価。筋らしい筋や明確なキャラクターが不在にもかかわらず、語りの妙によって「読むのを止めることがほとんど不可能」**にしてしまう点を称賛しているlatimes.com出典: ロサンゼルス・タイムズ紙 書評「SLAYGROUND: AMERICAN PSYCHO」(1991年3月17日)より. 引用: “The miracle of Bret Easton Ellis is that ... with a throwaway nonstyle ... a prose that is pure exchange value, he nevertheless makes it virtually impossible to stop reading.”latimes.com

  • フェイ・ウェルドン(小説家・文芸評論家) — エリスを「非常に優れた作家」と評し、本作を**「精巧に統制された、注意深く作られた重要な小説」**だと絶賛theguardian.com。過激な暴力描写に対する批判に対しては「それを大げさに糾弾する我々の側に問題がある」と反論し、誰も罰されず救済もないこの物語が現代社会の冷淡な現実を暴いたものだと評価しているtheguardian.comtheguardian.com出典: ガーディアン紙 書評「An honest American psycho」(1991年4月25日、著者フェイ・ウェルドン)より. 引用: “American Psycho is a beautifully controlled, careful, important novel which revolves about its own nasty bits. Brilliant.theguardian.com

  • アーヴィン・ウェルシュ(小説家) — 本作を「我々の時代で最も偉大な小説の一つ」と位置づけ、当初物議を醸した過激描写もブラックユーモアと風刺によって現代社会の醜悪さを映し出すために不可欠だったと高く評価しているtheguardian.comtheguardian.com。とりわけ一人称・現在形で語られる文体について、「読者を主人公の視点に引き込み、その暴力と消費社会の客体化の過程に読者を加担させる」巧みな叙述技法だと称賛したtheguardian.com出典: ガーディアン紙 寄稿記事「American Psycho is a modern classic」(2015年1月10日、著者アーヴィン・ウェルシュ)より. 引用: “the narrative style of American Psycho forces the reader to adopt his point of view... the reader is implicated in both the violence and the objectifying processes of consumer society.”theguardian.com

日本人評者による論評

  • 村上春樹(小説家) — 「作品としての評価は完全に分かれているけれど、社会的状況の資料としてこれほど自己犠牲的にシニカルで本質的な小説はちょっとない」と述べ、本作の徹底した風刺性を高く評価しているja.wikipedia.org。同時代の話題作『虚栄のかがり火』(トム・ウルフ)と比べても、本作の方がはるかに覚悟を持って社会の本質を暴いていると指摘したja.wikipedia.org出典: 村上春樹『やがて哀しき外国語』(エッセイ集、講談社、1994年)所収の評論より. 引用: 「作品としての評価は完全にわかれているけれど、社会的状況資料としてこれくらい自己犠牲的にシニカルで本質的な小説はちょっとない」ja.wikipedia.org

こうして「静かな世界」は幕を閉じ、日本は30年ぶりに“価格のある金利”を取り戻した。

 1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本は長期にわたり低成長・低インフレに苦しみ、金利は世界で最も低い水準に張り付いた。ゼロ金利政策(1999年)と量的緩和(2001年)は「デフレ克服」を掲げつつも恒常化し、長期金利は1%を割り込んだ。2013年の黒田総裁による異次元緩和は国債大量購入を伴い、2016年の「長短金利操作(YCC)」導入で10年金利はゼロ%付近に固定された。30年債も1%を下回る異例の水準で推移し、これが株価・不動産価格を押し上げ、国債費を低く抑える「静かな世界」の基盤となった。

しかし2022年以降、海外でインフレが急加速し、日銀の政策だけが世界潮流から取り残された。YCC下で金利上限を抑え込むための「指値オペ」は市場機能を歪め、国債市場の流動性は低下した。2022年12月には許容幅を±0.25%から±0.5%へ拡大し、2023年には1.0%を事実上の上限とするなど“弾力化”が進む。2024年3月、ついにマイナス金利が解除され、YCCも終了。日銀は短期金利0〜0.1%の誘導へ転じ、超長期ゾーンの利回りは市場の判断に委ねられた。

そして2025年秋、30年国債利回りは3.3%台に達した。これは1990年代初期以来の高水準であり、金利抑圧の時代が終焉した象徴といえる。背景には、財政拡張的な政策観測、国債増発への懸念、賃金上昇による粘着的インフレ期待、世界的な長期金利上昇がある。長期金利の上昇は、企業の割引率を押し上げ資産価格を下押しする一方、年金・保険の運用利回りには追い風となる。政府にとっては利払い費増大という新たな制約が生まれ、金融政策と財政政策の緊張関係が再び顕在化する。

こうして「静かな世界」は幕を閉じ、日本は30年ぶりに“価格のある金利”を取り戻した。市場は国債の需給、財政、成長への期待・懸念を直接反映し始め、金利が経済の言語として再び意味を持つ時代に入ったのである。


「余ったぶんが企業のもうけ」は、学術的にはマルクスの基本定理(FMT)の中身です。すなわち、(線形生産の枠で)労働が生む付加価値が賃金を上回る=余りが出る(“搾取”>0)なら、経済全体で正の利潤率が成立し、逆も成り立つ——という同値関係を厳密に示した命題です(森嶋→ローマーの系譜)。

 「余ったぶんが企業のもうけ」は、学術的にはマルクスの基本定理(FMT)の中身です。すなわち、(線形生産の枠で)労働が生む付加価値が賃金を上回る=余りが出る(“搾取”>0)なら、経済全体で正の利潤率が成立し、逆も成り立つ——という同値関係を厳密に示した命題です(森嶋→ローマーの系譜)。viiper.at+1 一方で、置塩定理は別の主張で、実質賃金が一定のまま費用削減型の新技術が採用されるなら、新しい均衡では一般利潤率が上昇すると証明します。ここでは「余り=もうけ」の存在同値ではなく、技術革新と利潤率の比較静学を述べている点が違いです。Wikipedia+1 これらはいずれもスラッファの価格論(長期には一様利潤率が分配パラメータとして現れる)を背景に整理され、利潤率は直観的に**資本の平均利回り(利子率に相当)**と読めます。ianwrightsite.files.wordpress.com+1 なお近年は、置塩の賃金一定を緩めた拡張や、FMTの定義・均衡概念を精査する再検討も進み、条件次第で結論が変わり得る点も示されています。arxiv.org+1


数学物理における「斜交(oblique)」とは、直交(orthogonal)ではない座標系や基底を指し、相互干渉・非独立性を意味する。

 数学物理における「斜交(oblique)」とは、直交(orthogonal)ではない座標系や基底を指し、相互干渉・非独立性を意味する。直交座標はユークリッド的な平坦空間を前提とするが、斜交座標では軸が傾き、計量テンソル 

gμνg_{\mu\nu} の非対角成分が現れる。これは、空間が曲率をもち、観測者によって時間や距離の関係が変化することを表す。すなわち、斜交は「曲がった空間」や「非慣性系」の数学的兆候であり、一般相対性理論においては重力そのものを意味する。たとえば非慣性系では時間軸と空間軸が混ざり g0i0g_{0i} \neq 0 となり、時間と空間が直交しない。量子力学でも非エルミート系では固有状態が直交せず、左右固有ベクトルが「双直交(biorthogonal)」関係をなす。これにより、非保存性や不可逆性が表現される。また、場の理論や微分幾何では、斜交座標が電磁場や重力場の結合を記述する。トーションやゲージ接続はこの非直交成分に対応する。要するに、斜交とは観測者が空間と独立でいられない状態、すなわち「観測が空間を変形する」ことの数理的形式であり、主体と世界の相互干渉を表す構造である。吉本隆明の表出理論における「指示と表出の非直交性」は、この物理的斜交と同型的である。

アインシュタインの理論は、重力を「力」ではなく時空の曲率として説明する点で、勾配理論的である。

 アインシュタインの理論は、重力を「力」ではなく時空の曲率として説明する点で、勾配理論的である。一般相対性理論では、計量テンソル 

gμνg_{\mu\nu} の勾配(二階微分)が曲率テンソルを生み、これが重力場を構成する。特殊相対性理論でも、物理量の保存則 μTμν=0\nabla_\mu T^{\mu\nu}=0 により、すべての変化が勾配として捉えられる。哲学的には、時間・空間・質量などの存在は絶対的ではなく、相互の関係(勾配)として定義される。したがって、アインシュタインの理論は「関係の勾配構造」としての宇宙像を提示したと言える。

リディアンクロマチックコンセプトと吉本隆明の表出理論はいずれも、固定的な規範を拒み、中心の設定によって場の秩序を再構成する理論である。

 リディアンクロマチックコンセプトと吉本隆明の表出理論はいずれも、固定的な規範を拒み、中心の設定によって場の秩序を再構成する理論である。リディアン中心(F♯)が音高間に重力勾配を生むように、表出主体は言語空間に心理的・社会的な力場を形成する。両者は独立した軸を持ちながらも、要素同士が干渉しあう「斜交」構造を重視し、転調や文脈転換によって意味や響きが生成される。LCCが音の重力理論なら、吉本は言葉の重力理論であり、いずれも「自由と秩序」を両立する生成的フィールドを描く。