本稿は、Unix V7に収録されたtar(1)マニュアルを対象に、技術文書を単なる操作説明ではなく、歴史的・文化的テクストとして「味わう」ための読解方法を検討する。tarは本来、磁気テープ上にファイル群を保存・復元するための道具であり、そのmanページには、現代のファイルアーカイブ観とは異なる媒体感覚、コマンド設計、制約条件が凝縮されている。また、.TH、.SH、.TPなどのroffマクロは、文書そのものが組版可能なデータとして管理されていたUnix文化を示している。本研究では、この読みにくさを欠陥ではなく、時代のインターフェースとして捉え、JavaScriptによる簡易ビューア化を通じて、古典的仕様書の再読可能性を探る。仕様書を読む行為は、機能理解にとどまらず、道具・媒体・記述形式の関係を追体験する実践である。