2026年6月29日月曜日

娯楽における「粘性」

 本稿は、娯楽における「粘性」を、味わう行為を成立させる時間的・記憶的条件として位置づける。ギャンブルやガチャに代表される射幸性は、未来の偶然によって現在の行為を駆動するが、その継続性は必ずしも経験の蓄積に基づかない。これに対し、RPG、トリロジー、育成ゲーム、対人ゲームに見られる粘性は、過去の選択、記憶、未練、関係性が現在の解釈と行動に残留する性質である。すなわち、粘性とは単なる中毒性や反復性ではなく、経験が揮発せず、次の体験を変形させる力である。さらに、対人ゲームでは履歴が読み合いを生み、読み合いが戦略性へと発展する。ここでは偶然だけでなく、他者の意図、癖、記憶、因縁がゲーム性を厚くする。したがって、ゲーム性の発展は、射幸性から粘性へ、さらに戦略性・社会性へと移行する過程として捉えられる。「味わう」とは、この粘性を受け入れ、経験の残留を価値として読む態度である。

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