「浮世は目に見えない煙で一杯だ。目は開いていても、見てはいても、結局視てはいないのだ。それに君たちはいつでも、どうして?とすぐに理由を求めようとする。訳が判ったら、それでどうだというのだ?」 ・「蜂 はどんなに遠くへ行き、花の中に潜り込み向きを違えて出てきても、だれにも教えられることなく、おそらく考えることすらせずに、一直線に巣へと向かう。渡 り鳥が故郷を目指す、流れを超えて川を上る魚は決して誤ることがない。おそらく人間にとって愛とは、そうした初源の力なのだ。」