「戦争体験を主体的にどううけとめたか、という蓄積感と内部的格闘のあとがないのだ。極論すれば、壺井には転向の問題も、戦争責任の問題もなく、いわば、時代とともに流れてゆく一個の庶民の姿があるだけである。また、もしこういう詩人が、民主主義的であるなら、第一に感ずるのは、真暗な日本人民の運命である」
「戦中に共産主義から転向して戦争協力詩を書き、戦後になると、復党して、他の戦争協力を糾弾する。いずれも安易に行われたとしか思えない。吉本はこの無責任な変節を非難する」吉本隆明論