ベルリン行動規範は、**2010年代前半(おおむね2013〜2014年)**に、ベルリンの技術系コミュニティ、特に Rubyコミュニティ を中心に形成された行動規範です。国家や国際機関が制定した条約・宣言ではなく、**技術イベントやコミュニティ運営の実務から生まれた、自主的な行動規範(Code of Conduct)**である点が重要です。
背景
2000年代後半から2010年代初頭にかけて、欧米のオープンソース/技術コミュニティでは、
・カンファレンスやミートアップでのハラスメント
・性別・人種・国籍・性的指向などをめぐる排除的言動
が問題化し、「誰でも安全に参加できる場」を明文化する必要性が高まりました。
この流れの中で、アメリカ・ポートランドのRubyコミュニティが策定した pdx.rb Code of Conduct や、さらにその元となった Citizen Code of Conduct が先行事例として存在していました。
ベルリンでの成立
ベルリンでは、2011年以降、国際的なRubyカンファレンスやミートアップが頻繁に開催されるようになり、運営母体である Ruby Berlin e.V. の関係者を中心に、既存の行動規範を参照しつつ、より汎用的で再利用しやすい規範文書として整備されたのが「ベルリン行動規範」です。
この規範は、
期待される行動
許容されない行動(ハラスメントの定義)
違反時の対応方針
を簡潔かつ実務的に示す構成を取り、特定の思想や政治的主張を前面に出さないことを特徴としています。
公開と普及
ベルリン行動規範は、Creative Commons BY-SA 4.0 のもとで公開され、
そのまま採用
一部改変して利用
翻訳して配布
が自由にできる形になっていました。
この「再利用前提」の設計により、
技術カンファレンス
オープンソースコミュニティ
勉強会・ミートアップ
へと急速に広がり、「ベルリン行動規範をベースにした行動規範」という記載が各イベントサイトで見られるようになります。
歴史的位置づけ
ベルリン行動規範は、
法律でも
国際条約でも
倫理哲学の宣言でもなく
**「場を壊さないための、最低限の運営インフラ」**として登場しました。
そのため理念的文章は比較的控えめで、実務寄り・運用寄りの文体になっています。
結果として、
強い思想色を持つ規範に抵抗がある組織
国籍や文化の異なる参加者が混在する国際イベント
でも採用しやすく、2010年代後半には「技術イベント向け行動規範の事実上の標準テンプレートの一つ」として定着しました。
https://github.com/RubyBerlin/code-of-conduct
https://citizencodeofconduct.org/