Late style(晩年様式 / Spätstil)は、芸術家の「晩年の作品群」に現れる独特の作風を指す批評語です。ただし「円熟して丸くなる」という意味に限らず、むしろ不穏さ・断片性・和解しない緊張として語られることが多い概念です。 Edward Said+1
由来と代表的な2つの系譜
アドルノ(Theodor W. Adorno)
ベートーヴェンの晩年作品を論じる文脈で「Spätstil(late style)」を強く印象づけました(1937年の断章が重要)。晩年作品は「甘く完成する」のではなく、荒れて、裂けて、苦く、統合を拒むようなものだと捉えます。 Edward Said+1エドワード・サイード(Edward W. Said)
アドルノを踏まえつつ、晩年性を「exile(亡命/追放)の形式」としても読む方向へ広げ、時代に馴染まない**アナクロニズム(時代錯誤性)**や、解決しない矛盾を重視します。 London Review of Books+1
※英語圏の “late style” は、ドイツ語の Spätstil(晩年様式) と Altersstil(老年の個別様式) が混線しがちで、用語が曖昧に使われる問題も指摘されています。 Stanford Humanities Center
晩年様式でよく挙げられる特徴(典型)
難しさ・とげとげしさ(聴きやすい解決を避ける) London Review of Books
断片化/異質な要素の併存(統一より裂け目が前に出る) London Review of Books
和解拒否(矛盾を「まとめない」) Nicholas of Autrecourt
現在への不適合(時代錯誤、亡命的な位置) PubMed