■ 鈴木大拙『日本的霊性』
戦時期に書かれた思想書。国家のための日本精神ではなく、禅や浄土に見られる個の内面の宗教的覚醒を「霊性」として捉え、日本文化の深層を静かに描き直した。
■ 本居宣長
江戸中期の国学者。『古事記伝』などの注釈を通じ、日本には外来思想以前の「真心」「もののあはれ」があると主張。後の日本精神論や神道思想の源流を形づくった。
■ 山本常朝『葉隠』
佐賀藩内部で語られた武士道倫理。「武士道とは死ぬことと見つけたり」に象徴される、主君への即時的忠義を説く地方的・過激な行動規範で、全国的影響は後世。
■ 新渡戸稲造
『Bushido: The Soul of Japan』で武士道を英語化し、日本人の道徳として世界に紹介。キリスト教的倫理と近代教養を通じ、武士道を穏健で普遍的な物語へ再構成した。
■ 西田幾多郎
日本近代哲学の基礎を築いた思想家。「純粋経験」「絶対無」などを通じ、個と世界の関係を哲学的に定式化。日本的思考を世界哲学の文脈へ接続しようとした。
■ 和辻哲郎
『風土』『倫理学』で、人間を個ではなく「間柄」として捉え、日本文化と倫理を共同体・歴史・環境の構造から説明。日本精神論を理論的に整理した代表的存在。
■ 折口信夫
民俗学者・歌人。「まれびと」や祭祀研究を通じ、神話・民俗・性・死に宿る霊性を掘り下げた。国学を継承しつつ、より身体的で陰影のある日本像を提示。
■ 三島由紀夫
武士道・天皇・身体・美を主題に、小説と行動で日本精神を演じた作家。葉隠的倫理を個人の生と死に圧縮し、思想や歴史を一回的事件として可視化した存在。