Hydraボットネット(Protected Media 等の対策):2020年、セキュリティ企業Protected Mediaは「Hydra」と呼ばれる世界規模の広告詐欺ボットネットを公表した。このスキームでは、広告配信ネットワークを介して偽装アプリトラフィックを生成し、広告主から1.3億ドル以上を不正徴収していた。業界は「Slay Hydra」作戦としてGoogleやTAG(Trustworthy Accountability Group)などと連携し、システムを停止させたprotected.media。Google側も同協力を評価し、不正防止の重要性を強調しているprotected.media。
モバイルアプリ経由の詐欺(Cheetah Mobile 等):中国のアプリ開発会社Cheetah Mobileは、アプリ内で不正にインストール報酬を請求する「クリック注入」手法で批判を浴びた。Googleは2018年に同社の不正行為を問題視し、2020年には同社の45個のアプリをPlayストアから削除しているfraudblocker.com。また、類似の手口で広告を乗っ取る悪質アプリ群(例:Vastflux、Matryoshkaなど)も近年問題となっている。
業界団体による認証・ガイドライン:IABやTAGは、業界ベースでサプライチェーンの健全化に取り組んでいる。2017年、米IABは会員企業に対しTAGへの登録を義務付け、TAGの不正撲滅活動へ参画することを決定したiab.com。TAGは2016年から「Certified Against Fraud(CAF)」プログラムを運用し、認定チャネルではボット等による無効トラフィック率(IVT)を1%未満に抑制していると報告しているtagtoday.nettagtoday.net。また、業界標準としてAds.txtやAds.certなどの認証・検証プロトコルが開発され、広告取引の透明性向上に寄与している(IAB Tech Lab参照)。広告主や代理店は不正対策ツールの導入を進め、第三者機関(MRCなど)の品質認証も利用している。