2017年10月20日金曜日

あぶない薬

『危ない薬』は、1992年にデータハウスから刊行された青山正明の初単行本で、薬物文化やドラッグの知識を独自の視点でまとめた一冊です。著者は当時のアンダーグラウンドカルチャーの象徴的存在で、薬物に関する法的規制、作用、使用形態、文化的背景などを、体験談や取材を交えて記述しています。発行当時は、現在では違法指定された薬物も合法として紹介されており、現行の法律や薬物事情とは大きく異なります。そのため、実用的なドラッグマニュアルとしては機能せず、あくまで90年代初頭のサブカル史料として読む価値が高いといえます。内容は危険性を淡々と解説しつつも、当時の風俗・音楽・アンダーグラウンド雑誌の文体を反映したユーモラスかつ挑発的な筆致が特徴です。薬物を単なる犯罪や中毒の文脈でなく、文化・思想・社会現象として捉える視点がユニークで、今では資料的価値を持ちますが、内容の一部は法的に問題がある可能性があるため、実践的参考としては避け、歴史的ドキュメントとしての読解が望まれます。